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電源の入らないHDDからデータを取り出す方法

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 電源が入らないハードディスク(HDD)から、データを取り出すには、復旧業者へ高額な作業料を支払うのが一般的です。しかし、素人でも安価にデータ取り出しが出来る場合が有るので、その方法を紹介致します。

1.HDDに電源が入っているかどうかを確認する

 HDDには、モーターが内蔵されており、電源を入れると同時にモーターは回転し、振動が発生します。振動が確認出来ない場合は、HDDを持ち上げ、少し傾けてみます。モーターが回転している場合は、ジャイロ効果が働いて、傾けるのに抵抗が感じられます。
振動やジャイロ効果を確認出来ない場合が、「電源の入らないHDD」となります。
電源が入っているけれど、中のデータが見えない場合は、姉妹記事の「パソコンで認識しないHDDからデータを取り出す一方法」を参照下さい。

2.HDDに電源が入らない原因

 HDDの構成要素を、大胆に分類すると、
基盤
モーター
プラッタ(レコード盤)
ヘッド(レコード針)
筐体
になります。
 HDDに電源が入らない場合、考えられる原因は、
① 基盤との接触不良
② 基盤の故障
③ モーターの故障もしくは、ヘッドとプラッタの固着
等が挙げられます。
「③モーターの故障もしくは、ヘッドとプラッタの固着」は、HDDの内部を確認して初めて分かることなので、本稿では説明致しません。
以下、上記①と②の原因の特定方法と対処方法を説明します。

3.HDDとケーブルの接続不良の確認

 HDDに電源が入らない原因で、最初に疑うのは、HDDと電源ケーブルの接続不良です。
「ハードディスクを認識しない」と、お問い合わせを頂いた中で、一番多いのがこれです。何回か、接続をやり直すと電源が入る場合が有ります。
対処方法は、何回か、接続をやり直してみます。それでもダメだった場合は、他のケーブルで接続を試してみる事になります。
 他に、接触部の金属が腐食したりしている場合が有ります。この場合は、本稿の5節「基盤との接触不良の確認と対処法」を参照下さい。
 テスターが有れば、基盤内に電源が流れているか、確かめる方法が有りますが、本稿では割愛します。

 接続不良の例
接続不良の例

4. 基盤の取り外しと部品の外観検査

 HDDに電源が入らない原因を特定するには、HDDから基盤を取り外す必要が有ります。基盤を固定しているネジは、トルクスネジ(ヘックスローブネジ)が採用されています。トルクスドライバーは、100円ショップやアマゾンなどで販売されています。


基盤の取り外し


 上写真の〇で囲まれた部分がトルクスネジです。これらのネジを取り外す事で、簡単に基盤を取り外すことができます。


取り外した基盤


 基盤を外して、部品側を注意深く検査します。
基盤上に接続されている部品を見て、焦げ付きなどが有れば、基盤の故障と断定できます。

 基盤上の電子部品の故障例


基盤上の電子部品の故障例


 左下の部品の中に、破裂したような跡が有ります。

5.基盤との接触不良の確認と対処法

 HDDの基盤は、外部との接触箇所が以下の4ヶ所有ります。
① 電源の供給部
② PC等との電気信号送受信部
③ ヘッドとの電気信号送受信部
④ モーターとの電気信号送受信部


基盤との接触不良の確認1


基盤との接触不良の確認2


これらの接続部分の状態を目視します。腐食や汚れが有った場合、接続部分を消しゴムで擦ると、きれいになります。
 基盤をHDDに取り付けて、しっかりネジ止めして、電源を投入してみます。
弊社の経験でも、稀にではありますが、この対処でHDDが復活することが有りました。

6.基盤の故障時の対処法 WD社製の場合

6.1基盤の交換並びに移植

 HDDの電源が入らず、基盤の故障が疑われる場合、基盤の交換並びに移植が、データ復旧の一つの方法になります。但し、前節までの判定方法だけでは、基盤の故障ではなく、ヘッド、プラッタ、モーター等の故障も十分に要因と考えられるので、注意が必要です。
これから説明する内容を実際に行った場合の責任は、弊社では負いません。あくまでも自己責任でお願い致します。

HDDの主なメーカーは、
Western Dijital
Seagate
Toshiba
になります。
 本節では、Western Dijital社製(以降、WD社)のHDDについてのみ、説明します。他のメーカーのHDDの場合は、本稿の7節「 基盤の故障時の対処法 Seagate社製、Toshiba社製の場合」を参照下さい。

6.2同一型番、同一ロットのHDDの調達

 基盤を交換する場合、ドナーとなるHDDを探すことになるのですが、条件が有ります。
1)同一型番
2)同一国で製造
3)同一製造日
以上の条件になります。
型番と製造国は、必須条件です。製造日は、同一でない場合は、出来るだけ近いとデータ取り出しの可能性が有ります。(工場では、マイナーなバージョンアップを頻繁に行っているようです。)


同一型番、同一ロットのHDD


WD社のHDDは、タイなどの他の国でも製造しているので、注意が必要です。
検索時の注意点
必ず、上記の条件を満たし、正常に動作するHDDを手配します。
ヤフオクでは、写真の使い回しが有るので、注意が必要です。
Ebayや海外サイトでは、基盤のみ販売している場合が有ります。弊社は、購入経験が有りません。(約一週間位で着く配送方法を選択して、正常なHDDを購入しています。)

6.3手配したHDDが到着したら

 基盤を交換する前に、以下の事を確認します。
1)手配したHDDに電源を入れて、正常に動作することを確認します。
2)基盤の型番が同一であることを確認します。


基盤の型番


基盤の型番は、2060-771824-005 REV P1
REV以下も完全に一致している事を確認します。

6.4基盤の交換

 いよいよ基盤の交換作業を開始します。その前に、基盤とHDD本体には、油性ペンやシール等で、必ず目印を記入します。
 基盤を交換して、電源を入れてみます。おそらく、データが見える状態になると思います。
もし、電源が入らなかった場合、「③モーターの故障もしくは、ヘッドとプラッタの固着」と言う事になります。この場合は、残念ながら、復旧業者へ依頼することになります。

6.5データが見えたら

 すぐに、別のハードディスクにコピーを行います。動いたのだから、と言って、そのまま使い続けるのは、大変危険です。弊社のクローンマイスターを使うと、高速にハードディスクのコピーを行う事ができます。
素人の方が行うのは、ここまでです。

復旧業者には、次の作業が有ります。
故障した基盤から、ROMの内容を読み取り、交換した基盤へ移植します。この作業は、PC-3000等の高価なHDD復旧ツールでの作業になります。この作業を行う事により、取り出したデータの完全性がアップします。

7.基盤の故障時の対処法 Seagate社製、Toshiba社製の場合

 Seagate社製やToshiba社製の場合、基盤を交換すると、基盤内のROMとプラッタ内のシステム領域との同期を取る処理が動作する危険性が有り、弊社では行いません。もし、この処理が実行された場合、データを取り出すのが限りなく難しくなります。
 なので、絶対に行わないで下さい。

では、出来る方法は?
 基盤上のROMを移植する事になります。
手順は、
1)「6.2同一型番、同一ロットのHDDの調達」と同じ方法で、正常に動作するHDDを調達します。
2)故障した基盤から、ROMを取り外す(ハンダこて等を使用して)
3)正常な基盤から、ROMを取り外す
4)正常な基盤に、故障した基盤から取り外したROMを接続させる
となります。
素人では、無理な技術です。海外サイトには、この作業を行う業者も存在します。が、弊社は利用したことは有りません。

結論として、電源の入らないSeagate社製、Toshiba社製のHDDの場合は、復旧業者へ依頼することをお勧め致します。

8.まとめ

 電源の入らないHDDに対して、復旧業者へ依頼する前に、素人レベルでも行える方法を説明しました。
 WD社製のHDDの場合、基盤交換するだけで、データの取り出しが出来る場合の有る事を説明しました。

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