お客様から聞いた復旧価格

お客様からの問い合わせで、
「他の復旧業者から、○○万円の見積だったが、御社での復旧料金はいくら?」
などと言われて、記憶に残っている例を示します。

Noお客様機種名提示価格弊社の実料金
1某国立大学TeraStation TS-1.0TGL/R5手付金30万円,成功報酬70万円97,200円
2高級貴金属会社LinkStation   LS-W1.0TGL/R1200万円76,000円
3ジャスダック上場会社LinkStation   LS-WS1.0TGL/R150万円54,000円
4個人TeraStation   TS-X2.0TGL/R530万円97,200円

その他、30~50万円位と言われている場合が多いようです。

高いですよね?

復旧料金は、提示額に対して、お客様が納得してお支払をすれば完結するビジネスなので、料金の高い事を非難するつもりは有りません。

しかし、「データ復旧」の目的は、「現状では見えていないデータを、前の通り、見えるようにする(読み書きできるようにする)」ということです。これには、料金が安いから、50%復旧できれば良い、などということは有りません。逆に高い料金の場合、確実に100%復旧できるというものでもありません。(復旧率が100%の復旧業者はいないと思います。いれば、扱い件数が極端に少ないか、困難な案件を取り扱わない業者だけだと思います。)

「データ復旧」という作業は、依頼する側にすれば、何をどうやると復旧できるのか、など色々判らないことだらけだと思います。特に、1)作業時間、2)データ復旧に必要な技術力、3)データ復旧に必要な設備、など。

このページでは、「復旧料金は何故高い?」のテーマに、以下の三点から、復旧業者を選定する際に、弊社が必要と感じた事を記述していきます。

①ハードディスクやNASの故障の程度は千差万別であること。

②復旧業者の力量(復旧可能な故障の程度)も千差万別であること。

③弊社での復旧手順と、力量と料金。

以上を説明することにより、復旧料金を加味した、お客様が復旧業者を選択する上で、一つの視点になれば、と思っています。

①ハードディスクやNASの故障の程度は千差万別であること

ハードディスクの故障する確率について

最初に、ハードディスクの故障確率について、Gigazineの記事、「ハードディスクの寿命傾向がストレージ会社が集めたデータから明らかに」を元に、説明させて頂きます。

以下、記事を引用して、抜粋掲載します。
ーーーーー>引用開始

このデータを発表したのは、アメリカでオンラインバックアップとデータバックアップのソフトウェアを開発するBackblaze社です。これまでの5年にわたるサービスから取得されたデータを分析し、ハードディスクの寿命を予測しました。同社で稼動している何万台というハードディスクのうち、78%には問題が発生しておらず、残る22%だけが4年の間に何らかのトラブルに見舞われていることがわかっています。

ハードディスクの生存率

下記のグラフは、Backblaze社が使用しているハードディスクの生存率を示したものです。最初の18か月間は、年換算5.1%の故障率で推移し、19か月から36か月の間は年換算1.4%という低い水準で推移することがわかります。そして36ヶ月を超えるあたりから、故障率は11.8%と急激に増加していることもわかります(グラフの傾きが平坦ではなく急に角度が付いていくということ)。
ハードディスクの生存率

それから先、ハードディスクはいつまで使えるのか?

5年を過ぎたハードディスクの寿命はどうなるのでしょうか?これについては、GoogleもCMUも、5年を過ぎたハードディスクに関するデータは出していませんが、CMUは論文の結論において「5年を境に故障率は増加するだろう」というコメントを寄せているのは注目に値します。同社で使われてきたハードディスクはすべて新品からのもので、5年を超えるハードディスクに関するデータはまだ取得できておらず、今後も引き続きデータを取り続けていくこととしています。

ハードディスクの寿命

前出のチャートをもとに予測される、半数のハードディスクが寿命を迎えるポイントを予測すると、ハードディスクの寿命中間点は、6年を少し超えたあたり、ということになりそうです。

<-----引用終了

まとめ

①2年以内に故障するのは、5%。
5%、つまり、20台に1台と聞くと、「ま、そんなもんか」と思いますが、
4台構成のTeraStationなら、20%。なんと、5台に1台は、2年以内に故障するということです。
2台構成のLinkStationなら、10%。10台に1台は、2年以内に故障するということです。
と故障の確率は上がります。

②6年動作するのは、50%。
お客様自身でハードディスクの交換をしたTeraStationを復旧する場合が多々有ります。この確率は、現場サイトから見ても、納得できる数字になっています。
先日、訪問したお客様のサーバーは、RAID無しの単体ハードディスクで動作しているものでしたが、なんと8年以上も安定に稼働していました。

ハードディスクの故障の程度と発生度合いについて

ハードディスクの故障の度合い

ハードディスクの故障には、論理障害と物理障害が有ります。
簡単にこの障害を区分けすると、

  • 論理障害は、パソコンに接続すると、ハードディスクを正しく認識する状態
  • 物理障害は、パソコンに接続すると、ハードディスクを正しく認識しない状態

となり、更にそれぞれの障害には、軽度、中度、重度の度合いが有ります。

障害レベル復旧度合
論理障害 軽度一般のコピーツールで、新品のハードディスクにコピーすると、復帰するケースが多い
論理障害 中度一般のコピーツールで、新品のハードディスクにコピーしても復帰出来ない(データ取り出し可能)
論理障害 重度一般のコピーツールで、新品のハードディスクにコピーしても復帰出来ない(データ取り出し不可)
物理障害 軽度基盤やファームウェアの障害(開封作業無し)
物理障害 中度ヘッドの障害(開封作業を伴う場合有り)
物理障害 重度モータの障害や、ディスク表面の損傷が有る場合(開封作業有り)、また水没等

弊社の経験で分析すると、ハードディスクの故障の度合いは、以下のようになります。

円グラフ。重度の論理障害は障害全体の1%程度しかない。

弊社がお客様へ納入したパソコン等の経験では、ハードディスクの故障の85%は、軽度の論理障害となっています。しかし、弊社へ復旧依頼をされるハードディスクの場合は、軽度の論理障害の物は無く、中度の論理障害以上の故障が大半になります。これは、インターネットなどで、データ取り出し方法の解説を調べる方が多くなったのだと解釈しています。
実際に、「Linuxで、LinkStationから取り出したハードディスクを見ても、肝心のデータパーティションをマウントできない。」と言われて、弊社へ依頼される方もいらっしゃいました。

  • 復旧料金が高くなるポイント1
    「中度の論理障害」以上の故障になると、お客様は、「重度の物理障害」でも、結果的にデータが見れないので、「重度の物理障害」の料金を提示する業者が存在すると思います。
    逆に、均一料金というのも変な話とも言えます。(力量、設備共に十分で、「中度の論理障害」でも、「重度の物理障害」でも作業量は同じという業者がいるのかもしれません。)
    弊社では、RAIDO0構成のLinkStationや1台構成のLinkStationを復旧する場合には、「ハードディスクの開封作業はしない。開封作業が必要な場合は、復旧せずに返却します。」ということを条件に作業を行います。基盤の取り寄せが必要な場合は、その費用が上乗せになることを説明します。

TeraStationの故障とハードディスクの故障の関係

2010年8月に「TeraStation復旧サービス」を開始してから、1年経った2011年8月末で、100台を超える復旧をさせて頂きました。 
弊社が扱った最初の一年間で扱った100台のTeraStationの故障を分類すると、以下のようになりました。(PC-3000導入前)

電源装置や基盤の故障4台全台弊社で復旧
ハードディスク1台の故障80台全台弊社で復旧
ハードディスク2台の故障10台8台弊社で復旧、2台復旧できず
ハードディスク3台の故障2台全台弊社で復旧
ハードディスク4台の故障1台全台復旧できず
RAID構成の再配置による故障3台1台弊社で復旧、2台復旧できず

ここで、注目すべきは、「ハードディスク1台の故障」が、80台であることです。

この当時は、ハードディスク復旧ツール「PC-3000」導入前の実績なので、復旧できなかったのは、ハードディスクの故障は、重度の論理障害以上だったと思います。

当時のハードディスクは、大きいサイズでも1TBだったので、比較的復旧し易かったと記憶しております。現在は、2TB、3TB、4TBとサイズが大きくなり、復旧するのに時間がかかるようになってきました。

実は、RAID1以上の方が復旧し易い?

 TeraStationやLinkStationは、複数台のハードディスクが搭載されており、複数台のハードディスクでRAID構成をしています。RAID0以外のRAID構成は、同時に複数台のハードディスクが故障する確率が低い為、1台、もしくはRAID構成によっては、2台のハードディスクが故障しても、データを再現できるように設計されています。
 例えば、
4台構成のRAID5の場合、1台のハードディスクが故障しても、OKです。
4台構成のRAID6の場合、2台のハードディスクが故障しても、OKです。
4台構成のRAID10の場合、条件は有りますが、2台のハードディスクが故障しても、OKです。

 RAID0の場合や、1台構成のNASの場合、1台のハードディスクが故障しても、データの保証が有りません。

 ここから、本節の命題「実は、RAID1以上の方が復旧し易い?」について、それぞれの場合で比較します。

2台構成のNASで、1台のハードディスクが、物理障害となった場合

RAID0の場合
 物理障害になったハードディスクから、データを取り出し、残りの1台のハードディスクとで、RAID構成をした上で、データ復旧する必要が有ります。
 物理障害になったハードディスクから、データを取り出すのが困難な為、復旧費用が高くなります。

RAID1の場合
 物理障害になったハードディスクを無視して、残りのハードディスクからデータ復旧するので、簡単になります。

4台構成のNASで、1台のハードディスクが、物理障害となった場合

RAID0の場合
 物理障害になったハードディスクから、データを取り出し、残りの3台のハードディスクとで、RAID構成をした上で、データ復旧する必要が有ります。
 物理障害になったハードディスクから、データを取り出すのが困難な為、復旧費用が高くなります。

RAID5、RAID6、RAID10の場合
 物理障害になったハードディスクを無視して、残りのハードディスクで、RAIDを構成して、データ復旧するので、簡単になります。

4台構成のNASで、2台のハードディスクが、物理障害となった場合

RAID0の場合
 物理障害になったハードディスクから、データを取り出し、残りの2台のハードディスクとで、RAID構成をした上で、データ復旧する必要が有ります。
 物理障害になったハードディスクから、データを取り出すのが困難な為、復旧費用が高くなります。

RAID5の場合
 物理障害になったハードディスクの内1台から、データを取り出し、残りの2台のハードディスクとで、RAID構成をした上で、データ復旧する必要が有ります。
 物理障害になったハードディスクから、データを取り出すのが困難な為、復旧費用が高くなります。

RAID6、RAID10の場合
 物理障害になったハードディスクを無視して、残りのハードディスクで、RAIDを構成して、データ復旧するので、簡単になります。
(但し、RAID10の場合、故障したハードディスクの組み合わせにより、RAID5と同じ困難さになる場合が有ります。)

まとめ

 物理障害のハードディスクからのデータ復旧は、やはり難しいです。
それぞれのNASに対して、1台もしくは2台のハードディスクが物理障害が発生した場合、データ復旧の難易度を表にまとめました。

台数別NASRAID構成1台故障時の難易度2台故障時の難易度
1台構成----困難----
2台構成RAID0困難困難
RAID1簡単困難
4台構成RAID0困難困難
RAID10簡単簡単(困難な場合が有る)
RAID5簡単困難
RAID6簡単簡単

※この表では、物理障害のハードディスクからデータ復旧する必要が有るかどうか、で困難、簡単を判定しています。

②復旧業者の力量も千差万別であること

 例えば、単なる「風邪」を治療する場合に、近くの内科医院に行くか、○○大学付属病院に行くか、を考えてみて下さい。
 おそらく、大多数の方は、行ったらすぐに診てもらえる、近くの内科医院に行くと思います。しかし、内科医院の先生から、「紹介状を書くから、○○大学付属病院に行って、検査を受けて下さい。」と言われれば、そこで、はじめて○○大学付属病院に行くことになると思います。(最近では、紹介状を持たずに、最初から○○大学付属病院へ行ってしまう方も、多いとか。。。)

 NASのデータ復旧を依頼する場合も、同じではないでしょうか?データの機密保持、という観点も有りますが、最初から仰々しいデータ復旧会社へ依頼すると、復旧までの時間がかかり、おまけに高額な見積を提示されてしまう場合が多々あるようです。

 事、目に見えないデータで、かつ、重要な機密情報が詰まったデータなので、最初から、大会社へデータ復旧を依頼する傾向にあると思います。

 弊社では、上記のような行動を否定するものではありません。最初にも述べた通り、発注側と受注側の双方の利害が一致すれば、契約は成立します。
 一方、弊社に「他の会社で○○万円と言われたが、御社では何故、そんなに安いのか?」と言って、弊社へデータ復旧依頼をされる、お客様が多いのも事実です。

 加えて、つい最近発生した事例ですが、4台構成で、RAID10のTeraStationのデータ復旧の見積を依頼したら、高額な見積を提示してきたので、お断りしたら、1番と2番のハードディスクを開封して、返却してきた業者がおりました。
RAID10の場合、1番と2番のハードディスクでRAID1、3番と4番のハードディスクでRAID1、を構成し、更にその二組のRAIDを、RAID0で構成したものです。
 1番と2番のハードディスクを開封したということは、中のプラッタ(円盤)を交換したかもしれません。このような、悪徳業者が、未だに日本に存在することが信じられません。

 以上のことから、データ復旧を依頼する場合、業者選定の一助になればと、本節を記述します。

ハードディスクの開封作業は有り?

 「物理障害の発生しているハードディスクから、データを取り出すには、ハードディスクの開封は必要か?」
と、問われると、
 「開封する必要が有る場合が有ります。」
と、いうことになります。

ハードディスクを構成する部品は、大きく、

①筐体
②制御基板

③モーター

④プラッタ(円盤)

⑤ヘッド(いわゆる、レコード針)
となります。
機械なので、いずれの部品も故障する可能性が有ります。

以上の部品の中で、故障した場合、開封作業を行わないとデータ復旧できない部品は、②制御基板を除いたすべてです。

RAID復旧の場合に職人技が必要?

PC-3000について

③弊社での復旧手順と、力量と料金