TeraStation のディスク暗号化機能でどれくらいアクセス速度の低下が起こるのか気になったので、調べてみました。検証の対象がTS-XE2.0TL/R5という古い機種ですが、何かの参考になれば幸いです。
検証環境
検証環境の情報は以下の通りです:
検証対象機材
機種 | TS-XE2.0TL/R5 | 2009年12月下旬 発売 |
内蔵HDD | WD5000AAKX-001CA 4台 | 交換済み・非純正 |
ネットワーク構成
HUB | LSW3-GT-16NSR |
LANケーブル | Cat. 6 |
計測用ホスト
OS | Windows 10 |
CPU | Intel Core i7 3612QM |
M/B | UNITCOM W55xEU |
Mem | 8GB DDR3 |
Main Storage | Samsung SSD 840 EVO 250GB |
検証方法
検証対象機材と計測用ホストをHUB経由で接続しました。計測用ソフトウェアとして CrystalDiskMark を用いました。実行パラメーターは 1024 MiB [] (x5) [Interval=5 sec] とし、これを2回実行し平均値を検証結果として採用しました。
比較対象
比較したのは検証対象機材の以下の設定のそれぞれについて通常時と暗号化時のアクセス速度です:
- HDD単体
- RAID1 (HDD x2)
- RAID5 (HDD x4)
前提知識
前提として、検証対象機材の設定に対して以下の特性があることを了解しておいてください:
- HDD単体よりもRAID5, RAID1 のほうが読み出し速度が速い
- HDD単体とRAID1では書き込み速度はあまり変わらないかやや遅くなる
一般的に、HDD単体よりもRAID5, RAID1 のほうが読み出し速度が速くなる傾向があります。これはRAID5, RAID1 では、データ読み出しを複数のHDDで分散して行うことができるためです。
一般的に、HDD単体とRAID1では書き込み速度はあまり変わらないかやや遅くなります。これはRAID1 では、同一のデータを複数のHDDに書き込まなければならないためです。
RAID5 については一概に速くなるか遅くなるかということは言えません。これは RAID5 の場合には主に以下の2つの要素が考えられるからです:
- 分散書き込みが可能なので早くなる
- パリティを計算しなくてはならないので遅くなる
今回の検証機材では通常時の各構成について以下の結果が得られています:
注意事項
TeraStation のディスク暗号化機能では次のことが可能です:
- HDD単体の暗号化
- RAIDアレイの暗号化
しかし、以下のことは不可能です:
- 暗号化した単体HDDで組んだRAIDアレイの暗号化
結果の画面だけを見ると何となく暗号化した単体HDDで組んだRAIDアレイの暗号化ができているように見えるかもしれません。しかし、以下の理由から実際にはそうなっていないと判断できます:
- 管理画面上でRAIDアレイを組む時に一度HDD単体の暗号化が解除されているように見える
- SSH で接続できるように細工して内部状態を確認してみても、HDD単体の暗号化がなされていないように見える
検証結果
上記を踏まえて検証を行った結果、以下のデータが得られました:
試験項目によってはディスク暗号化機能を使用することで通常時の47.6%まで性能が低下してしまう項目があることが分かります。ディスク暗号化機能については、これを使用することで得られるHDD盗難などへのセキュリティ向上のメリットとアクセス速度低下のデメリットとのトレードオフについてよく吟味する必要がありそうです。
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