ハードディスクの故障の大分類
ハードディスクの故障の程度は、大きく以下の二つになります。
- ①物理障害
- ②論理障害
になります。これの定義は、諸説有ります。
弊社では、ハードディスクをパソコンに接続した時に、パソコンがハードディスクを正しく認識するかどうかで、定義しています。つまり、
- ①物理障害 ⇒ パソコンが、ハードディスクを認識しない。
- ②論理障害 ⇒ パソコンが、ハードディスクを正しく認識する。
ハードディスクが物理障害になる要因
ハードディスクが物理障害になる要因を分類すると、
- (1)人的要因
- (2)機種依存
- (3)自然劣化
になると思います。それぞれの要因を考えてみます。
(1)人的要因
ハードディスクは、超精密品の為、扱い方によってはすぐに故障してしまいます。
ハードディスクを落下させた。
電源の接続を間違えた。
冬に、ハードディスクを触ったら、バチッと静電気が発生した。
ノートパソコンの空気の排気口が埃で詰まっていた。
・・・・
ハードディスクは、衝撃と熱には特に弱いです。
余談ですが、弊社では、真冬にお客様から送られてきたTeraStation等は、すぐに通電せずに、ハードディスクを取り出して、室温で一時間以上放置してから、作業を開始します。
東北でも指折りの豪雪地帯のお客様が、この冬一番の寒い日の朝に、暖房を入れる前に、パソコンに電源を入れて、一瞬でハードディスクを壊したということが有ったので…
(2)機種依存
ハードディスクは、メーカーだけでなく、どこの工場で組み立てられたかにより、故障頻度が極端に多くなる場合が有ります。
一昔前、富士通がハードディスクメーカーから撤退する原因になった、富士通ハードディスク問題が有りました。
最近では、Seagate製のST○○○○DM○○○という型番のハードディスクなどが挙げられます。
同じ型番でも、○○で組み立てられたディスクは良いのに、△△で組み立てられたディスクは故障率が高いということは、現在進行形で発生しています。
ここで、注意したいのが、ハードディスクメーカーの保証は、同等品の交換で行われる為、中のデータは一切保証されません。
日本製であれば…という思いも有りますが、価格競争の波により、日本製品も、同等品の交換という保証になっているのが寂しい限りです。
(3)自然劣化
ハードディスクは機械なので、当然、寿命が有ります。ある調査によると、(ハードディスクの寿命傾向がストレージ会社が集めたデータから明らかに)
1年以内に故障する確率は、 5%、
3年以内に故障する確率は、10%
4年以内に故障する確率は、22%
そして、
6年以内に故障する確率は、50%と予測される、との事です。
メーカーの営業戦略として、5年で交換という事を意識しているのだ、と思います。
ユーザーである私たちは、「ハードディスクは、5年もったら御の字」という意識で、お付き合いすることになります。
論理障害の発生する要因
ハードディスクが論理障害となる要因は、
- (1)Readエラーの発生するセクタの増加
- (2)パソコン等のソフトの不具合
- (3)ウィルス等の感染等で、ファイルシステムがクラッシュ
- (4)誤ってファイルやフォルダ等を削除したなどの人的要因
と、考えられます。
(1)Readエラーの発生するセクタの増加
ハードディスクにおけるセクタとは、データを保存する最少領域で、1セクタ当り512バイト、もしくは4096バイトの領域になります。(下図)
(A)トラック
(b)(幾何学的)セクタ
(c)トラックセクタ
(d)クラスタ
(ウィキペディアの「ディスクセクタ」より引用)
例えば、513バイトのファイルAを、512バイトのセクタに保存する場合、2セクタに渡って保存されます。第一セクタには、512バイト、第二セクタには、1バイト保存されます。
第二セクタでReadエラーが発生した場合、結果的に513バイトのファイルAは、正しいデータとして取り出せません。
しかし、実際には、セクタに突然Readエラーが発生するわけでなく、Readエラーが発生したり、後ではReadできたりと不安定な状態が続き、最終的にReadエラーが定常的になる場合がほとんどのようです。
Readエラーが発生したセクタを救う機能として、ハードディスクには「代替セクタ」機能が備わっています。不安定なセクタは、予め用意された代替セクタ領域のセクタと置き換えることによって、何事も無かったように(正常に)、データの受け渡しを行っています。
しかし、この代替セクタの領域には限りが有ります。代替セクタを使いきった後に発生した、Readエラーのセクタを含むファイルは、正しく読むことはできなくなります。
このReadエラーが発生した場所により、
- 一つのファイルが見えない
- フォルダが見えない
- パーティションが見えない
- ハードディスクは認識するけれど…
という状態になります。
(2)パソコン等のソフトの不具合
パソコンのOS等の不具合により、ファイルシステムが損傷する場合が有ります。
また、パソコン本体のハードディスクのコントローラの故障などにより、ファイルシステムが損傷する場合も有ります。
(3)ウィルス等の感染等で、ファイルシステムがクラッシュ
最近流行のランサムウェアなどで、ファイルの内容の暗号化だけでなく、ファイル名も変更してしまい、最終的にはファイルシステムがクラッシュしてしまう場合が有ります。
(4)誤ってファイルやフォルダ等を削除したなどの人的要因
誤って、ファイルやフォルダを削除してしまった。
パーティションを削除してしまった。
ハードディスクをフォーマットしてしまった。
など、人的要因でも発生します。
論理障害に対する弊社の考え方
Readエラーが発生したセクタの代替処理が行われない場合、一般の定義では、物理障害とされています。しかし弊社では、このエラー発生のセクタが、サービスエリア以外のセクタであれば、論理障害と定義しています。(サービスエリア内で、Readエラーが発生すると、ハードディスクが正しく認識されなくなる可能性が有ります)
理由は、有効なソフトを使用することで、ほとんどのデータを復旧できるからです。
ただし、出来ないのは、Readエラーが発生したセクタが、ファイルの構成要素の場合です。残念ながら、そのファイルの復旧は無理です。(Excelなどのソフトには、壊れたファイルをある程度までは復元する機能なども有ります。)
データ復旧の方法については、別のページにまかせるとして、
何故か、「データ復旧」と名前が付くと、異様に高額になってしまう事に疑問を抱いています。
実際に、ハードディスクを開封して、ヘッドを交換する作業の場合、クリーンルームの用意、交換するヘッドの用意、精密部品を扱う高度な技術等が必要です。従って、復旧費用が高目になることも理解できます。
しかし、「Readエラーが発生したセクタ」が数個存在するだけで、「物理障害」と称して、一気に高額の請求を出す業者も少なからず存在する事に、憤りすら感じます。
それ故弊社では、「Readエラーが発生したセクタ」が有る程度の障害を、敢えて、「論理障害」と定義しています。
まとめ
ハードディスクの故障には、故障の程度で、
- ①物理障害
- ②論理障害
の2通りが有ることを説明しました。
そして、それぞれの発生要因は、
①物理障害の場合
- (1)人的要因
- (2)機種依存
- (3)自然劣化
②論理障害の場合 - (1)Readエラーの発生するセクタの増加
- (2)パソコン等のソフトの不具合
- (3)ウィルス等の感染等で、ファイルシステムがクラッシュ
- (4)誤ってファイルやフォルダ等を削除したなどの人的要因
となることを説明しました。
最後に、論理障害に対する弊社の考え方を説明しました。
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