RAID機器のデータを復旧するためには、そのRAIDレベルに応じた台数のHDDを確保しなければなりません。
この記事ではその台数についてまとめます。
RAIDレベルとデータ復旧に必要な台数
RAIDレベルごとのデータ復旧に必要なHDDの台数をまとめたのが以下の表です:
RAID レベル | 必要台数 |
---|---|
RAID0 | 全台 |
RAID1 | 1台 |
RAID5 | 総台数 – 1 |
RAID6 | 総台数 – 2 |
RAID10 | 全RAID1ペアごとに1台ずつ |
RAID0 は耐故障性のないディスクアレイですので、全台分のHDDを確保しなければなりません。
RAID1 はアレイのメンバHDDすべてに同じ内容が書き込まれていますから、復旧に際してはそのうちのどれか1つがあれば十分です。
RAID5 は1台分の故障を許容するディスクアレイですので、アレイを構成する全HDDのうちの1つまでは欠損した状態でデータの復旧が可能です。
RAID6 は2台分の故障を許容するディスクアレイですので、アレイを構成する全HDDのうちの2つまでは欠損した状態でデータの復旧が可能です。
RAID10 は RAID1 のペアをRAID0 で束ねたディスクアレイですので、すべてのRAID1ペアから1台ずつ確保できればデータの復旧が可能です。
どのようなHDDを確保しなければならないか
ところで、RAID機器のデータ復旧のために確保しなければならないHDDというのはどのようなものでしょうか。当然、論理的・物理的なエラーがない原本のHDDがあればいうことがありません。しかし、実際にはそのようなHDDのみで必要台数を満足できない場合があることは無視できません。
論理的・物理的なエラーがない原本のHDDが調達できない場合には、エラーがある原本からエラーのないクローンHDDを作成し、これを用いて復旧作業を行います。
壊れたHDDのうち、どのHDDのクローンを作成するかは柔軟に判断する必要があります。
たとえば、RAIDのリビルド中にほかのHDDが故障した場合には、リビルドで新しく挿入されたHDDには有効なデータはほとんど入っていませんので、これは使えません。使えるのは、壊れて取り外した古いHDDか、リビルド中に故障したHDDのどちらかです。
どうやってHDD を確保するか
物理的・論理的なエラーからデータ復旧用のクローンHDDを作成する手順は基本的には非RAIDシステムの単体HDDからクローンHDDを作成する手順と同じです。この手順については 壊れたHDD からデータを取り出す方法 を参考にしてください。ただし、ファイルシステムの修復は単体のHDDに対して行うのではなく、編成されたRAIDアレイに対して行うという点で異なっています。
まとめ
RAID機器のデータを復旧するためには、そのRAIDレベルに応じた台数のHDDを確保しなければなりません。RAIDレベルごとに許容される故障HDDの台数が異なっているため、復旧に必要な台数も異なります。
また、復旧作業に使用するために十分な台数の健常なHDDが原本のみで揃わない場合には、故障したHDDからデータ復旧作業用のクローンHDDを作成する必要があります。