機器種別 | TeraStation |
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型番 | HD-H1.0TGL/R5 |
構成 | RAID5 250GB×4 |
容量 | 750G |
データ量 | 3.83TB |
所要時間 | 5日 |
料金 | 97,200円 |
未だに存在する、天文学的な見積額を提示する業者
ある日、九州に有る国立大学の先生より、電話が有りました。
「御社のページを見て電話した。この復旧料金は本当か?
前にパソコンのハードディスクの復旧依頼をお願いした業者へTerastationを送付して見積をしてもらったら、『着手金30万円、成功報酬70万円。後払いには対応していない。』と言われた。
慌てて、ネット検索したら、御社のページにたどり着いた。
御社のページでは、10万円位でデータ復旧出来ると書いてあるが本当か?」
電話を受け取った弊社の担当は、驚いて、しばしの間、絶句しました。
「まだ、そういう天文学的な見積を出す業者がいるんだ。。。」
電話での概算見積の提示
型番を聞いたら、HD-H1.0TGL/R5
これは、なんと、TeraStationの初代機でした。
弊社のお見積は、
基本料金 64,800円
ハードディスクに故障が有れば、1台に付き10,800円加算
RAID5なので、最大3台で、32,400円の加算になります。
結局、合計は、64,800~97,200円
取り出したデータの保存先であるUSB外付けハードディスクは別です。弊社でも用意できますが、割高です。
お支払いは、復旧したデータを確認後で、OKです。
と、お電話で回答致しました。
TeraStation到着
件の業者から引き取り、弊社へ送付されたTeraStationです。
ハードディスクは、IDEで、この機種は、下の写真のようにハードディスクを取り出すのに、多くのネジを外さなくてはいけません。
お客様からお聞きした症状
2番のハードディスクが故障したので、ハードディスクを交換してリビルドを開始した。
ところが、途中で、TeraStationが止まってしまったので、電源を入れ直したら、EMモードで起動した。
「EMモードになったら、ファーウェアのアップデートを行うと良い。」と、メーカーのサポートから聞いたので、ファームウェアのアップデートを行った。
アップデート後、TeraSationは、正しく起動したが、データが見えない状態になった。
弊社の予測
初期のTeraStationは、ファームウェアアップデートを行うと、強制的に初期フォルダを作成してしまうようです。(以前、岡山県へ出張データ復旧した時に体験しました。この時は、TS-1.0TGL/R5でした。)
今回もこれと同じで、ファイルインデックスが飛んじゃったのだと思います。
弊社での作業
ハードディスクのクローンの作成
まず、それぞれのハードディスクのクローンを作成します。今回は、交換前の2番のハードディスクも送付するようにお願いしていたので、計5本のクローンを作成しました。当然、以後の作業は、クローンを用いて行います。
デグレード状態(お客様の申告内容)の再現
次に、2番のハードディスクを除いた、1番、3番、4番のハードディスクをRAIDを構成してみます。すると、
data
lost+found
のフォルダのみで、中には何も見えない状態です。
この場合、TeraStationのデータ部で変更になっているのは、
①ハードディスク交換による、RAID構成情報の変更
②dataというフォルダを書き込んだことによる、ファイルインデックスの破損
になります。
リビルド前の状態に戻す
ファイルインデックスが破損した場合に、より多くのデータを取り戻す為には、デグレード状態ではなく、4台のハードディスクを用いた方が良いと考えられます。
そこで、今回は、リビルド前の状態に戻す作業を行いました。
具体的には、故障した2番のハードディスクのRAID構成情報を取り出し、1番、3番、4番のハードディスクに移植します。
ローリカバリの実施
この場合、弊社で行う作業は、ローリカバリの作業になります。(この作業は、クローン作成時にReadエラーを発生したハードディスクを用いてのデータ復旧作業の場合に、通常のRAID構成では見えなかったファイルが有るかどうかを検査する作業になります。弊社では、可能な限り、RAID構成後のデータ取り出し結果と、ローリカバリ後のデータ取り出し結果を納品しています。)
ローリカバリの欠点は、ファイルインデックスのリカバリも行うため、同じファイルが違うフォルダに出てくること(ファイルが重複します)。更に、あり得ないファイルサイズのファイルが出来上がることです。
今回の作業でも、同様で、750GBが最大のはずが、取り出したファイルサイズの合計は、3.83TBになってしまいました。
弊社のお見積
行 | 内容 | 数量 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|---|
1 | TeraStation4台構成 | 一式 | – | 64,800円 |
2 | ハードディスクRAID 構成情報の再構築 3台 | 3 | 10,800円 | 32,400円 |
合 計(消費税込み) | 97,200円 |
※データ量は、約3.83TBでした。
(本来の容量は、最大700Gですが、ファイルインデックス情報欠損により、ファイルが冗長化しており為に、5倍強のデータ容量になっています。必要な情報の判別を弊社では出来ないため、取り出せたデータは全て納品することになります。)
※2TBのUSB外付けハードディスクを同梱頂きましたが、それでは足りないので、弊社より4TBのUSB外付けハードディスクを貸与するので、コピー終了後、返却願います。
TeraStationが届きました。
早速、データ復旧の作業を行い、本日、データの取り出しが終了したので、報告します。
添付ファイル
①ファイルリスト.zip
②機密保持契約書.pdf
③お見積書.pdf
①ファイルリスト
上から5段までのフォルダもしくはファイルのリストになります。
Lost+found
parent unknown
のフォルダ構成になっています。
○○大学1.csv 2TBのUSB外付けハードディスクの内容
○○大学2.csv 4TBのUSB外付けハードディスクの内容
②機密保持契約書.pdf
内容を確認頂き、内容が良ければ、TeraStationと一緒に2部送付するので、記名捺印後、1部を返送願います。
③お見積書.pdf
ハードディスクは正常でしたが、後述するように、RAID構成情報を再構築したので、その料金が加算されます。
取り出しの経緯
ハードディスクを取り出し、ハードディスクをコピーしました。
4台(+1台)共、問題なくにコピーできました。
2番のハードディスクを外した状態で、
RAIDを構成し、中を見たら、
data
lost+found
のフォルダが見えましたが、中にはデータが有りませんでした。
交換前のハードディスクから、
RAID構成情報を上記の構成に適用し、その上で、ファイルのローリカバリ作業を行いました。
やっと、データは見えるようになりましたが、
フォルダ構成は、正しく取ることができませんでした。
データ量も3.83TB弱になりました。
これは、フォルダインデックス情報が破壊され、フォルダやファイルが冗長化されている為です。弊社では、取り出したデータの取捨選択ができないので、取り出し出来たデータは、すべてお客様に提供させて頂いております。
2TBのUSB外付けハードディスクを用意頂きましたが、
足りないので、弊社の4TBのUSB外付けハードディスクを貸与します。コピー終了後、返却願います。
今回の原因について
初期のTeraStationは、ファームウェアアップデートを行うと、マザーボード内に保持されている、共有フォルダ名(今回の場合、data)が、強制的に作成されるという、初期のTeraStationのファームウェアのバグによるものと思われます。
(以前、岡山のお客様の場合も、同様の現象でした。)
発注頂ければ、何時でも発送可能です。
以上。よろしくお願い致します。
お客様からの発注内容
○○大学の□□です。
お世話になっております。
データ取り出しいただきまして、ありがとうございました。
正式に発注いたしますので、よろしくお取りはからい下さい。
また支払いについては、大学の公費に対応していただけるとのこと、ありがとうございます。
大学事務での取引先登録が必要でありますので、事務処理関連につきましては、本研究室の△△より改めて連絡させていただきます。
貸与いただいた4TBのHDDについては、こちらでコピーし次第返送いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
納品後のお客様からの声
○○大学の□□です。
データとりだしについて、お世話になっております。
昨日不在中にスタッフが荷物を受け取り、本日データの確認作業を行いました。
取り出し作業としては、これで結構です。
誠にありがとうございました。
フォルダ情報が失われていて過去の学生のデータもあり、正直全てが生き残っているかどうか不明な所もありますが、生き残っている出来たデータについて、研究室全体でサルベージいたしますので、御社にしていただく事は特にないかと思います。
そちらに残っているデータ等についても消去いただいて結構です。
貸していただいているハードディスクについては28日か29日に返送予定です。
送付処理いたしましたらご連絡いたします。契約書についてはHDDと一緒に送付いたします。
では失礼いたします。